経営者の盲点
基本的には経営者は、個々人がどんな人間であるかという、その人の持っている属人性によって彩られているのではないか。だから経営者は、会社を変えるとか会社の将来を決する新しいビジネス構想、ビジネス デザインは自分(経営者)だけができる特権であって、それゆえやらねばならないという意識を常に持っていると私は想っている。
しかし航空機が金属疲労を起こすように、経営者、リーダーの座に長くいると、いつの間にか役職疲労が出てきて自分をリセットできなくなる。そこでリーダーは常に自分をリセットしてまたやり直すことがひじょうに大事な人間としての条件であろうと想う。
経営者、リーダーは毎日、毎瞬間、場面が違う中で自分の持っている属人性、つまり個性と才能豊かに自分が会社を変えていくのだという意欲と、会社の将来を決定するビジネス デザイナーなのだという特権を持っていることを想うだけで、全身が熱くなっているのではないか。同時に役職疲労というようなものは、どこかへすっ飛ぶのではあるまいか。
ところが一方、経営者の中に頭のきりかえができていないのではないかと想われる人が多い。横並びで競争相手を見ていて、末端の顧客の価値をどう見ているのか。その顧客価値について徹底的に議論し顧客対応力ができているか。自分はこの分野で、このドメインで自分の持っている中核的競争能力を確実に発揮できているか。平均値を破る気概、志、野心が不足ではないかと気にかかる。
横並びの競争を絶対してはいけないというのではない。会社の背骨といえる自社の中核的競争能力に、「選択と集中」がなければ、仕事の量は増えても付加価値は上がっていかないし、動いてはいるけど利益は上がっていかない。選ばれた客に集中的に、徹底的に奉仕する迫力を欠くことにもなるといいたいのだ。
秋刀魚造り
素敵な生き方の創造
経営者は常にビジネスの革新者でなければならない。モチベーターである必要がある。それには歴史観を持ち、世界観を持ち、自分の価値観を幅広く看るし、深く考えるし、教養ある情熱を作り上げ発散することだ。
迷っても良い。学んで努力する限り迷うことは多くなる。それにより考え方が深まっていく。現代の会社には、こうした太い神経と物差しの長い考え方、そして自分に関係する集団すべてに素敵な生き方を創造するのだという気概が求められているのではないだろうか。
今こそ抽象的な志でなくビジョンを具体的に行動に移すときではないか。自分の手足を大きくし、豊かな人間性を踏まえ、柔軟な思考法に異質な社会から創造性を導き出していく努力が必要である。
どんな時代であろうと、真剣に生きることが何より大切だ。真剣さが物事を実らせるのだ。「人生にリハーサルはない。刻々進む時間の中で、人生は常に〝ing”だから」とはワコール創業者・塚本幸一氏の言葉だ。
どんな分野でもつねに他に半歩、一歩先んずる努力がなければなるまい。それが大きな開きを作る。病気になっても貴重な深思の修行になる。「はらの座った経営者になるには大病を患った経験を持つこと」といわれるぐらいだ。
人間、最後は人物魅力である。人間力には、世の中の変化や動きをしっかり正しく読み取る眼力がなければならない。そのために激烈な勉強もし、知的感性を磨き上げること。そんな経営者やリーダーを目指してがんばります。
サンマの料理です
華のある言葉は力になる
経営者やリーダーの言葉は力であると思う。夢や希望を言葉に変えて全社に徹底すれば、それは共感できるスローガンとして会社内でDNAに形成されていくし、素敵な会社の美学をも形成していく。
今経営において組織の中に染みとおっていくものは、そのような言葉を通じて生み出されていく心であり魂ではないだろうか。そのことばには華が必要だ。華のあることばをこころにして、みんなが実業力を発揮し邁進するところうに、顧客、得意先、仕入先、人間、自然との関係を深める原点があると思う。
経済は人間社会という土台の上にあるものだとわたしは思っている。そのことばが会社に強い精神力を培い、その優れた精神力をバネにした生き方が、価値ある仕事を創造するのである。
未来は予測するよりも、夢に日付けを入れて未来を創ることが大事だ。夢のことば化は実現への大きな力になるだろう。
イノベーション(技術革新)にしても、コラボレーション(合作)にしても、そこからうまれるレボリューション(革命)にしも、その実績を見ると経営者企業リーダーが交流の場を広げた所からきっかけがつかまれている。
業界を超えて、全く異なる分野の活動・仕事をひたむきにしている人たちと話し合う、声かけをして、勇気を出して自らの考え方を披露してみる。それに対して異分野の人から積極的な意見が出てくる。それが社内に新しい知的論争を生み、その結果、途が拓かれていったというケースは枚挙にいとまがない。
異分野交流会は有効だと思うし、面倒くさがらずに進んでいろんな会合に出席していろんな人と接触することは大事だと頭で分かっていても、行動する人は案外少ない。
気がついているが、ズボラ、ずるい立ち回り、筆無精をしてしまう。そんな生活習慣が続くと、いずれ怠け者の烙印を押される。自分を、モチベートしていくことが必要だ。それが組織の中で大切なことではないかと、私は思っている。
企業人・商人の生きる価値
企業人や商人の生きる価値は、どこにあるのだろうか。それは人間の生き方の中に素敵な掛け替えのないものを提供したり、技術を提供したり、あるいはサービスを提供するものだと私は思っている。
そうするためには、企業内の人間同士あるいはお客様とのあいだの人間同士に、いつも質の高い会話や濃密な人間関係が形成されていることが必要である。その具体的な会話を通じて、企業人は社会的ミッションを堅持しながら自から学び続けようという意欲を高めていくのだ。
そのように生きるリーダーには労を惜しむ人間はいないし、深く思案し、工夫し、諦めないで努力する。顧客の気持ちを真っ向からとらえて、答えをどのようにして具体化するかを探りあてる知的なしたたかさを持っている。彼らはどんなに忙しく振舞っていても使命感や心血を注ぐ目標がある限り、その人はくたびれてはいないように見える。
企業活動、商売とは、常にやさしさ、親切さが根っこになければならず、調べることの好きな人、あくなき探究心を持っている人、サービスすることに徹する人として、お役に立ちたいという気持ちが体に充満していることが、いかなる場合にも大きな成果を生むものなのだ。
「外に開かれた心」 「強い心」 「優しい心」この三つの心のあり方は、どんな人生でも、何歳になっても企業人であればなおさら絶対に欠くことのできないものであろう。
愛のある経営
顧客思考の経営を推進している経営者は街を歩き回り、すべての営業マンの声に耳を傾け、面倒くさがるしぐさがない。顧客の声を聞くだけではなく、顧客を猛烈に愛している。仕事が大好きで、もう一つの価値、プレミアム バリューを必ず提供してあげようという信念に燃えている。
その一方で音楽が趣味、スポーツが好きで、映画を楽しむ。つまり非まじめ人間の代表で、日々の余白を大事にする人だ。だから愛のある経営が展開できるのではないか。
その底流をキーワードでしめすと、次のようなものだ。「いい人の輪を作る」 「かわいがられる人になること」 「目をかけてもらえる人になること」 「深く人生を生きることを考える」 これからは思想.哲学を伝えるのがマーケティングだ。
私は、このようにこれからの経営者は企業理念の主軸がしっかりとして、なおかつ余暇を大事にし、集中力と分散力をバランスさせていくことが要諦であり、経営の面白さもそこに生まれてくるように思っている。
この時代、意欲ある企業が途を拓く。企業の意思を明確にし、構想を創り、展開し、実行し、実現していく。そのカギは行動力であろう。
それにはコンサルタントや他人に依頼するだけでなく、企業研究会を社内に持つことが必要だ。正式のプロジェクト研究会、ボランティアの研究会を立ち上げて、時には夜を徹しても議論する。
その白熱の結晶が期待される企業像を創るのではないだろうか。


